息子を育てるためにパブでホステスとして働いている事。
その間、息子は彼女のお母さんが面倒を見ているのだという。
彼女の勤めるパブがお兄ちゃんの働くインターネットカフェから近かったので、終電を逃した時は始発の時間まで過ごすのにたまに利用するのだと彼女は言っていた。
「事実を知って驚いたけど、そんなことが全てちっぽけに思える位、俺は彼女に惹かれていたんだ」
「あなたには仕事をしている姿を見せたくないの。他の男の人に笑顔を振りまいている偽者の私を。本当の顔を見せるのは葵にだけだから」
そう言われたから、彼女が働いている店を知っていても、会いに行くことはなかった。
2人でいる時の彼女は1人の女性であって、年下である自分に甘えてくる姿も愛しかった。
「美空さんの息子には会ったことあるの?」
「うん、休みの日には一緒に出かけたりした。海くんっていって、素直で元気いっぱいで、俺によく懐いてくれた」
美空さんの息子との思い出が過ぎったのか、お兄ちゃんは目を細めた。
「俺は今、学生で、頼りないけれど、もし彼女が望むならって、将来を考えなかったわけじゃない。院に行って、もうちょっと専門的な勉強がしたかったし、交換留学にも申し込んだ。彼女が待ってくれるならって、彼女を守って行きたいってそう思ってたんだ」
「それが何でいきなりストーカーみたいな扱いになるわけ?葵の話を聞く限りじゃ、お互い好き合っているように思えるけど・・・あ~confusing・・・」
「俺も解らない。春先から急に連絡が取れにくくなって、最近呼び出されて一方的に別れを告げられた・・・結婚したからって、もう俺には会えないし、会いたくないんだってさ」

