机の上だけ電気を付け、英語の勉強をしていたらしい。
広げてあった本を閉じ、ノートパソコンから流れる落ち着いたBGMを止めた。
「で、話って?」
お兄ちゃんは伸びをしながら、ベッドに座った。
紅虎はすでにカーペットの上に座っていて、あたしはどこから座ったらいいか少し迷ってから紅虎の横に座った。
手持ち無沙汰なので、ベッドの上のイルカの抱き枕を抱き締める。
「サファイアちゃんって葵の何なの?」
紅虎はストレートに質問をぶつけた。
お兄ちゃんの表情が固まり、目が見開く。
「・・・彼女に会ったのか?」
両膝に肘をついた前のめりの体勢で、お兄ちゃんは聞き返した。
「・・・会った。例のパブに行って、帰って来たところだ。で、彼女は葵の恋人?それともお前が一方的に好きだったのか?」
お兄ちゃんは黙り込んでしまった。
怒ってるのかな?そう思ってお兄ちゃんの顔を覗き込んだけれど、そうじゃないみたいだ。
目が泳ぎ、動揺している。
「あたし、サファイアちゃんに会ってるよね?この間、水族館に行った時、偶然会った。小さな男の子を連れたお母さん。彼女を見かけたから気まずくて、途中で帰ったんでしょう?」

