常連らしきお客さんはさっきの騒ぎを忘れて、再び自分の歌に酔いしれている。
サファイアちゃんは着替えるとママに挨拶をして帰って行った。
「すみません。紅・・・彼が迷惑をかけてしまって、いつもあんなんじゃないんですけど、今日は気が立ってたみたいです」
紅虎が起した騒動について謝ると、お嬢さんが気にすることじゃないわよと諭された。
「あの子もちょっと様子が変だった。あんな風に黙り込んじゃうなんて・・・マリッジブルーかしら?」
「・・・マリッジブルー?サファイアちゃん結婚するんですか?」
「ええ、籍はもう入れてるはずよ。今月末に式を挙げる予定なの。お店ももうすぐ卒業」
「さっき言ってた海くんって・・・」
「海くんはサファイアの息子よ。3歳になるって言ってたかしら?」
「息子ぉ!?」
どういう事?
頭の中がこんがらがって全然解らない。
お兄ちゃんがサファイアちゃんを好きだとしたら、結婚してて子供がいる人を好きになったわけで、それで彼女が遊んだってことは・・・不倫?
嘘?
嘘、嘘、嘘。
「やだわ。私ったら酒の勢いで喋り過ぎたみたい。人のプライベートをべらべらと」

