「どうしたの?お客さんを怒らすなんて、サファイアらしくないわよ」
サファイアちゃんは黙ったまま何も語らない。
「もういいわ。話したくないなら好きにしなさい。それと、今日は帰っていいから」
「すぐ着替えて来ますから・・・」
「替えの衣装はないわよ。海(かい)くんもあなたの帰りを待っているんでしょう?今日は帰って反省しなさい」
ルビーママにそう言われて、サファイアちゃんは下唇を噛んでいた。
不満そうな表情をしつつ、失礼しますと一礼をし、奥のスタッフルームへと去って行った。
顔を洗って、化粧がとったサファイアちゃんは年齢よりもずっと若く見えた。
「お嬢ちゃんはどうするの?連れが置いてったお金の分、飲む?」
いいえとあたしは首を横に振った。
ちょっと失礼と断りを入れてからルビーママはタバコに火を点けた。
テーブルの上のウィスキーを手に取るとロックで一気に飲み干した。
紅虎が勝手に店を出て行った時はどうしようかと思った。
後をついてそのまま店を出るべきか、そのままここに残るか。
あたしは後者を選んだ。
きっと紅虎はそのまま車で帰っちゃったんだろうな・・・大丈夫、終電までにはまだ時間がある。

