サファイアちゃんが立ち上がり、その場を離れようとした所で、紅虎が彼女の手首を掴んだ。
彼女は冷めた視線で紅虎を一瞥し、ため息を吐いた。
「関係ないってどういう事?」
「・・・正直、彼には迷惑してるの。ちょっと遊んだだけなのに、勘違いしちゃって、しつこく付きまとわれているのよ」
嘘だ。
お兄ちゃんが人が嫌がる事をするはずがない。
でも、恋は盲目っていうからな。
お兄ちゃんはこの人が好きだったの?
「Are you kidding? 葵に限ってありえない。お前、葵の事、弄んだのか?」
サファイアちゃんは黙り込んだ。
それがイエスという事なのだろうか?
やばいかも。
紅虎の表情が怒りに満ちていく。
サファイアちゃんは瞳に戸惑いを見せつつ、掴まれた手首を解こうとしている。
「こういう仕事をしているの。一方的に恋愛感情を持たれて、迷惑してるのはこっちの方____」
彼女が言い終わる前に紅虎がハイボールの入ったグラスを掴み、彼女に目掛けてかけた。

