どくんと胸が高鳴る。


 「それってあたしが紅虎の事が好きって言ってんの?何言ってるの、お兄ちゃん、そんな訳ないじゃん」


 どもったり、かんだりしないで答えたけれど、お兄ちゃんに心の内を悟られてドキドキしていた。


 「なら、いいんだ。前は虎の事、ジコチューだの最低だの言ってたのに、最近、よく虎の話を楽しそうに話してくるなって思っただけ」


 さすがお兄ちゃん、鋭い。


 でも、ならいいってどういう事なんだろう?


 まるであたしが紅虎の事、好きになっちゃいけないみたい。


 「花が虎を好きになったりしたら傷つくのは目に見えてるからさ、花が泣いたりするところ、兄としては見たくないんだ」


 「それって?」


 「虎は初恋をずっと引きずってる。10年以上もずっとだ。虎が彼女以外の誰かに振り向くことは親友の俺が見てる限りはない_____」