「もし、あの絵を自分が描いたとか調子のいい事言ってたら、殴ってやろうと思ったけど、草がすっきりしたのなら良かった」
「ちょっと、そんなことやろうとしてたの?ヤリスギヨクナイ!みたいに言ってたのに・・・」
紅虎は音楽のボリュームを上げて、あたしの声が聞こえない振りを続けた。
今夜、あのバーで2人が何を話していたのかを知るのはだいぶ日が経ってからだった。
亮太くんの主演ドラマは放映が終わり、その後行われた個展も大盛況に終わった。
紅虎もあたしも個展には足を運ばなかった。
奈々は付き合いで行って来たらしい。
ファンの女の子で溢れていたと教えてくれた。
草さんはあれから、休学中の大学に戻り、家に帰ってきたら作品を作り、休日になるとフリーマーケットに出展して絵を売り、お小遣いを稼ぐ生活をしている。
いつも通りの静かな日々に戻りつつある。
「花、ちょっと、これ見て~」
サンゴちゃんが慌てた様子で扉を叩く。
携帯片手にあたしの部屋に乗り込んで来た。
「竜ちゃんが教えてくれたんだけど」
と言って見せてくれたのが投稿された無料動画、アップされたのは今日みたいだ。
「これって・・・亮太くん?」

