友達は芸能人?
2人とも深めに帽子を被っていた。
ドリンクのオーダーを受けて、奈々がバーカウンターに向かうと、亮太くんは着ていたジャケットを脱いだ。
細かいチェックの柄のシャツにネクタイを結び、細身の7分丈のパンツで合わせている。
ちらりと見えるくるぶしにはシルバーのアクセサリーがさりげなく、足元はデッキシューズを履いていた。
ファッション誌の表紙を飾る亮太くんはどのアイテムも着こなしていて、THE アイドルのオーラを全身から放っていた。
紅虎とは違う爽やかな香水の匂いが漂ってきた。
草さんの絵の一件で幻滅していたにも関わらず、いざ本物を目の前にすると一気にテンションが上がった。
奈々は2人に生ビールと軽いおつまみを出して、談笑している。
奈々が横目で亮太くんの隣に座る紅虎に合図すると、
「すみません、オーダーいいですか?」
と奈々を呼んだ。
奈々が紅虎のオーダーを聞いて、バーカウンターに去っていくと、紅虎はテーブルの上に置いたタバコを取り、100円ライターをカチカチと鳴らした。
「すみません、火を借りていいですか?」
絶妙なタイミングで隣の亮太くんに訊ねる。
亮太くんはこちらを一瞥し、どうぞと自分のジッポを差し出した。

