指先でリズムを刻みながらハンドルを握っている。
紅虎ご自慢の愛車の中は、紅虎が使う香水の匂いがした。
車内に物を置かないタイプなのかきちんと整頓されていて、買ったばかりの新車同然だった。
よく見たら、紅虎はいつも好んで着ているモッズ系の格好で、草さんも強引に連れて来られたにしては、白シャツにネクタイを結び、ベストに細身のジーンズを履いている。
スタイリストサンゴの新作だろうか?
よく似合っている。
それにしても部屋着なのはあたしだけだ。
数十分程ドライブすると、繁華街に出た。
このネオン街はあたしにでも解る。
ますます部屋着で連れて来られた事への辱めを受ける。
紅虎はコインパーキングに車を止めると誰かに電話をかけた。
ジェスチャーで「俺の後について来い」と合図し、草さんもあたしもそれに従った。
「何なの一体、何も解らないまま連れて来られて、しかもパジャマなのに」
「僕も何が何だか・・・コロッケを食べてたら急に車に乗れって言われて・・・」
家にはサンゴちゃんもいたはずなのに何で草さんとあたしが連れてこられちゃったんだろう?
紅虎はあたしたちを振り返りもせず、ぐんぐん先に歩いて行く。

