「深夜の工場でお弁当作り。ベルトコンベアーの上で運ばれてくる弁当を列になって詰めていくの。すごく単純作業」
「レストランとかじゃないんだ?」
「有名店に入ってからまた一から関係を作ってって、新しい環境に飛び込む勇気が今の私にはないの。単純作業だったら頭をからっぽにして仕事が出来そうだし、働いている人も色んな人がいるから無理に気を遣わなくてもいいと思って・・・それに・・・」
「それに?」
「やっぱり私は料理をしている時が一番幸せだから、ある程度お金が貯まったらね、自分のお店が持てたらいいなって思って」
「ステキじゃないサンゴちゃん。あたし、サンゴちゃんの夢、応援するよ!」
「ありがと」
フフフと笑いながらサンゴちゃんは器用にコロッケに衣を着けていく。
あたしの手はすでにパン粉だらけになっている。
「花にはまだまだ修行が必要ね」
サンゴちゃんがため息を吐いた。
晩ご飯の後、自分の部屋で、雑誌を読んでいた。
ベッドでゴロゴロしながら雑誌を捲る。
枕元に放り投げたままの携帯を手に取る。
「気付くと見ちゃうんだよな~」
ぽつりと独り言を呟く。

