それらはまた草さんも制作威力を掻き立て、自分でも納得出来る作品がいくつも作れたのだそう。
「きっと広い世界には僕が見るべき素晴らしい芸術がたくさんあって、それってやっぱり自分の目で直接見ないとダメなんだって思ったんだ。で、バイトしてお金貯まったら旅行してを繰り返してたら、結果、留年・・・」
草さんは苦笑いをした。
あたしはどう返していいか解らず曖昧に笑っていた。
「そんな生活を繰り返したある日、虎が僕の絵を推薦してくれたんだ」
「叔父さんが絵を描ける人を探してる。できれば作品があれば見せて欲しいって、何かのドラマで使うらしい」
もしかしたら自分の作品が陽の目を浴びるチャンスかもしれない。
そう思った草さんは張り切って出かけて行った。
「一応、簡単な面接があった。ドラマの関係者と紅虎の叔父さんに僕の作品を見せて、採用が決まって契約が済んだ時に___」
この絵をドラマの主人公が描いたことにして欲しい。
今、人気絶頂のアイドル、笹森亮太が画家の役をやる。
もともと絵を描くことを趣味としてるみたいで、ドラマと併せて個展を開いたらどうか?という案が出ている。
実際、亮太くんの絵は素人に毛が生えた位で美的センスが素人目にもあるとは言えない。
君の力を借りれば、このドラマと個展が成功するだろう。
「契約の後に聞いた。僕には断る余地がなかった。虎が紹介してくれた仕事だったし、反抗することが出来なかった」

