草さんは、両手で頭を抱え込む紅虎の肩をぽんと叩くと、優しく微笑んだ。
「虎、僕は本当に大丈夫だから、笹森くんの人気にあやかって絵が売れたらラッキーって思うくらい。追加で注文された絵の締め切りが迫ってるんだ。悪いけど、作業に集中させて」
よいしょと腰をあげて立ち上がり、草さんは紅虎の部屋を後にする。
紅虎は俯いたまま何も言わなかった。
「本当に大丈夫なんですか?」
すれ違い様に草さんと目が合った。
うんと草さんはあたしに微笑みかけた。
何故だろう?その笑顔が、振り返った時に見えた華奢な背中がとても寂しそうに見えた。
「紅虎、またリベンジしようよ」
項垂れる紅虎の隣に座ってわざと明るく提案してみた。
「どうやって?」
冷静に切り返されて、答えに詰まる。
「それは・・・これから作戦を立てて・・・」
「・・・最悪だ」
え?あたしの事?冷たい声に思わずびくんとなる。
紅虎はあたしじゃなくてネット記事を眺めてた。
「リベンジはしない。草が望んでないからだ」

