晩ご飯が出来るまでの間、絵の続きを描くという草さんの邪魔をしないように、あたしたちは部屋を後にした。
そこにあるのが当たり前になっていたけれど、よく見ると廊下や階段の踊り場、リビングやキッチン、いたるところに草さんの絵が飾ってあった。
ポストカードくらいの物から、壁に飾るカレンダーくらいの物まで大きさも様々だ。
改めてじっくり見ていると不思議な絵だった。
例えば、玄関にある絵は桜の木に登って枝の上で休んでいる黒猫の絵なのだけど、花が立体的というか、押し花?
これって絵なのか本物なのか・・・絵のタッチも今描いてる厚塗りの絵の作品と違って柔らかく、ぼやけた部分があって水彩画みたいだ。
使っている紙も真っ白ではなく古紙みたいなくすんだベージュ色をしている。
モスグリーンの額縁で統一された作品たちは、どれも自己主張することなく、家の雰囲気に溶け込んでいた。
まるで草さん自身みたいに。
「これって本物の花だよ。コラージュっていうんだったかな?」
サンゴちゃんが晩ご飯のハンバーグを焼いている間、帰って来たお兄ちゃんとテーブルに食事の準備をしていると、そう教えてくれた。
「じゃあ、この家に飾ってある絵の植物の部分はみんな本物なんだ?」
「そうそう、玄関の桜も廊下のレンゲも、ここいあるタンポポのも押し花だ」
「違和感がないのが不思議・・・」
改めてじっくりと絵を見つめる。

