尻尾を振って嬉しそうだ。
何かおかしい。
そう思った瞬間、幽霊に足首を掴まれた。
乱れた髪の間から、黒ブチのメガネが覗く。
「お・・・お腹すいた・・・」
掠れた声で幽霊は呟き、その場で動かなくなった。
白い着物の女の幽霊の正体は、乱れたロン毛に絵の具まみれのツナギを着たメガネの男だった。
「じゃあ、あなたが間草くんなの?」
「・・・はい。お騒がせしました」
ツナギを脱いで、顔や腕についた赤い絵の具を落とした幽霊こと「Room4」の住人、間草さんはリビングのテーブルに腰掛けた。
乱れたロン毛をちょんまげのように結ぶと、大きな丸い瞳がレンズ越しに確認出来た。
ヒゲも伸び放題だったけれど、剃ってさっぱりとすれば歳相応に見えそうだ。
草さんはサンゴちゃんの作ったロールキャベツでご飯3杯をぺろりと平らげた。
サンゴちゃんが紅茶を淹れ、3人が向かい合ってテーブルに座っている。
「初めまして、Room2に住んでいる三五義男よ。みんなからサンゴちゃんって呼ばれてるの」

