「どうしたの?大丈夫?」

赤ちゃんだった頃の記憶はこの言葉だけだ。俺が死に掛けていた時、目を開けたら小さな子供が不安そうに俺を見ていたんだ。

まだ言葉も話せなかったから泣くことしかできなかったが、目の前にいた子供は理解をしていたようだった。

「ほら、ここには誰もいないわ。行きましょう。」

子供の母親だったか、後ろから子供を連れて行こうとしていた。