イジワル王子の溺愛





……ごめんな




言葉の代わりに、俺は泣きじゃくる椎香の手を握った




――――あ





思い出した





俺はあの時、子どもをかばって歩道橋から落ちたんだ






「…子どもは?」




「え?」





「俺がかばった子ども!大丈夫か?」




「あぁ、うん。軽い打撲で済んだって。翼がしっかりかばってたから」




「そっか」






よかった、無事で





こんな怪我をするのは俺1人で十分だ