「椎香…?」 なんでそんな顔してんだ? どうして泣いてる? 俺は動かない右手に苛立ちを覚えながら、椎香を見つめた 「よかった…っ本当によかった…」 どうして俺はいつも、椎香を泣かせてばっかりなんだろう 夢の中でも泣いていた 動けない俺の隣で、声を押し殺して 何度抱きしめようと思っても、俺はその方法を知らなかった でも今なら―――…