イジワル王子の溺愛




「…いてっ、おい俺はまだ病み上がりなんだぞ!…って」


あたしを見た翼は、言葉を止めた


「…なんで泣いてんだよ」



あたしの頬を涙が伝ってたから


翼は優しい

だからあたしを苦しめる


「救急車で運ばれたって聞いて、息が止まりそうだった。翼が死んじゃうんじゃないかって…」


「死なないよ、俺は」


「でも…っ」


「俺はこれくらいで死んだりしない」



ふわりと温かいものに包まれた途端、次から次へと涙が溢れた