それでも、愛していいですか。


「先生、本当にそう言ったの?」

「うん。すごく冷徹にね」

「そうなんだ。……なんだか、あまりにショックで、なんて言ったらいいか……」

「うん、わかる。私もそれ聞いた時、すごく動揺したから」

「どういう意味なんだろうね。先生になにがあったんだろう……」

奈緒は静かに首を振った。

ただ、自分は到底美咲には及ばないということはわかった。

事情も知らないただの学生の一人にすぎない自分には、どうすることもできない。

どれだけ、思っていても。

その時、二人の視線を感じたのか、美咲が笑顔でこちらに手を振っていた。

そして、奈緒たちの方をちらちらと見ながら阿久津になにかを話しかけると、阿久津も奈緒と加菜に気づき、軽く会釈した。

奈緒たちもつられて会釈する。

そこへようやくバスが到着した。

同じバスにすし詰め状態で乗り込む。

奈緒たちは、車内で阿久津と美咲と離れた場所に立っていたので、二人がどんな顔をしてどんな話をしているのか、全く窺えなかった。

二人きりの姿を見たくないのに、見失ったら見失ったで二人の様子が気になって仕方がなかった。