「由美は自分で自分を責め続けていたところに、さらに俺の父親にそんなことを言われて、耐えられなかったんでしょう。彼女は次第に家事もままならなくなり、ネガティブなことを言うことが増えました。『自分なんて生きている価値がない。涼介だって、私なんか必要ないでしょ』って感じでね。俺はその頃、うまく論文がまとまらなかったり、慣れない家事をしたりで自分に余裕がなくて……ある日、ネガティブなことばかり言っている由美にいら立ってしまって、声を荒げてしまったったんです。そしたら……」
奈緒は阿久津の顔をのぞき込んだ。
「首を吊って、自殺しようとしていました。幸い、未遂でしたけど」
奈緒は思わず口に手を当てた。
「そんなことがあって、由美は実家に帰ることになったんです。由美の両親が昼間、俺がいない間、彼女を一人にしておくのが心配だったんでしょう。実際俺もその方が安心できました。実家はここから車で30分足らずのところでしたし。彼女に会いたいと言われれば、どんな時間でも会いに行きました。もう帰ってほしいと言われれば、そのようにしていました。とにかく、彼女が穏やかでいられるように、それだけでした」

