そして、自分を嘲笑った。

「俺は、どうしようもないな」

呟いた阿久津をマスターは見つめる。

「そうでしょうか」

阿久津はカウンターの木の節に視線を落としたまま、

「ほとほと自分が嫌になりました」

と呟いた。

「人間なんてみんな、愚かなものですよ」

そのマスターの言葉に、阿久津はちらりとマスターを見上げた。

マスターは、穏やかな笑みを湛えている。

「だからこそ、愛しいんです」

阿久津は唇を噛みしめた。

明かりがにじんで見えた。