12月ともなると、街はどことなくせわしなくなる。

行き交う人たちも、皆足早だ。

あと少しで今年も終わりを告げる。

街はすっかりクリスマスの装飾で、どこもかしこも赤と緑に彩られている。

クリスマスソングが響く通りの人々は、どこか浮ついているように見える。

しかし、奈緒はいまいちこの雰囲気に乗りきれずにいた。

試験は終わったが、まだ結果は出ていない。

進路はまだ、宙ぶらりんのままだった。



奈緒は、お気に入りのカフェで加菜と向かい合って座っていた。

照れくさくて顔を上げることができず、無意味に指を動かしてしまう。

「え!?ほんとに!?」

恥ずかしくてなかなか話せなかったあの雨の日の出来事と、専門学校の試験の前にゲン担ぎの鉛筆を貸してくれたことを話すと、加菜は目を丸くして、飲もうとしていコーヒーカップの手を止めた。