「また、電話するわ。あんまり返事を遅らせるのも、相手方に失礼だから」

「うん」

「よく考えなさいね」

「うん」

「じゃあ、またね」

「うん」

そう言って、母は電話を切った。

最後まで、「わかったわ」とは言ってくれなかった。

お母さんはおばあちゃんを通して介護の大変さを痛感したようだが、私はおばあちゃんを通して、介護の仕事に興味を持ち、必要性を感じた。

お年寄りの人たちに、少しでも心地よい老後の時間を過ごさせてあげたい。

そんな時間を提供できる仕事がしたい。

そう思ったのは、幼い頃にいつもそっと寄り添っていてくれたおばあちゃんがいたからだ。

ベッドの上で大の字になる。

「はあぁ~……」

身体中の息を全て吐ききるような、大きなため息が出た。