「介護の仕事、わかってる?きれいな仕事じゃないのよ。排泄の世話とかもあるし、いろんなお年寄りがいるし、夜勤だってあるし、仕事のわりにお給料も安いらしいし。あなたにできるの?」

母は、現実を淡々と話す。

「そんなの、やってみないとわからないじゃない」

「そりゃそうだけど」

「どうしてそんなに介護職に反対するの?」

その問いに母は即答しなかった。

そして。

「おばあちゃん、家にいる時、トイレに間に合わないことが何度かあって。これからどんどん弱っていったらお世話が大変になるな、って思った。だけど、そんな私の不安をきっとおばあちゃんは察したのね。最期は病院で……身内の手を煩わすことなく、ね」

母が大きく息を吐き出したのがわかった。

「……立派な仕事だと思うわ、介護の仕事は。大変だもの。だけど、だから、わざわざそんな大変な仕事を選ばなくても、って思うのよ」