どのくらい、そうしていたのか。

阿久津はその後ようやく熱いシャワーを浴び、少し落ち着きを取り戻したようだった。

そして、「風邪をひいてはいけない」と服が濡れてしまった奈緒を心配し、温まるように言った。

阿久津が用意してくれた着替えが、由美のものではなく、阿久津のスウェットだったことに、奈緒はどきどきしたのと同時に、ほっとした。

さすがに奥さんの服に袖を通すのには、抵抗がある。

阿久津のスウェットは、案の定、大きすぎた。

あまりにだぶだぶで見た目はいただけなかったが、阿久津が普段身に着けているものに袖を通していることに、胸が高まらずにはいられなかった。

どきどきしながらリビングへ行くと、阿久津はキッチンからマグカップを二つ持ってきて、一つを奈緒に手渡した。