「ちょっと残念とか、思ったでしょ?」

君島はにやりとして奈緒の目をじっと見つめる。

「え、え……」

「わかりやすいなぁ。かわいい」

そう言うと、にっこりと微笑み、

「まあ明日、阿久津先生に直接聞くしかないね」

と、君島は奈緒の頭にぽんと手を置いた。

「また話すきっかけできたじゃない。アクシデント万歳」

「これでも私、携帯なくして不安なんですけど……」

奈緒は上目遣いで君島をにらむと。

「ごめんごめん」

君島はわしゃわしゃと奈緒の頭を撫でながら、屈託ない笑顔を向けた。

絶対悪いと思っていない。

この人はむしろ、楽しんでいる。

無意識に大きなため息が出てしまっていた。