「私さっき、先生のことうらやましいって言ったけど。本当は今まで、いろいろいっぱい悩んできたんでしょ?」

「そりゃあね。だけど、悩んだことは無駄にはなっていないよ。もがいてた自分がいたから、今の僕がある。僕は、僕でしかないから、僕なりの生き方しかできないんだよ」

にやりとした君島の表情は、今までで一番清々しくて格好良かった。

「やっぱり、うらやましいや。先生のこと」

「そお?」

「うん。最高に格好いいもん」

すると君島は突然奈緒の肩をぎゅっと抱き。

「聞いたかシュン!最高に格好いいだってさ!よ~し、今日はとことんいきますよ!」

君島は嬉しそうに空になったグラスを掲げた。