神 話 

「俺は萌野(もえの)の里の綾綺(りょうき)。
仲間の住む里は山の向こう側にあるが、俺は山に一人で住んでいる。」


鼻を鳴らして答えた綾綺に、火の神様は重ねてお訊ねになりました


「一人で?
何故一人で住むのか?」


「強くなるために決まってるだろ?」


強い感情のままに力を放つ黒い瞳を火の神様から離す事なく、綾綺は言い放ちました


「強く。
何故強くなりたい?」


さらに重ねて尋ねられた火の神様に、綾綺は苛々としたように足を踏み鳴らしました。


「里のみんなと幸せになるために決まってるだろうが!」