Fate.LOVER        ~運命の恋人~

「くっ…」


カルはルオンの言う通り
真っ黒な豹で
ルオンほどではないけど
とんでもなく大きい

足腰は細いのに筋肉がついてて
みるからに走るのが速そうだ


「僕はルオンのこと
案外好きだったのに
こんな形になるなんてね
でも、ナラガの命令だし。
決まりを破ったルオンが悪いんだよ?」


口調はどこか子供っぽいのに
なんだか背筋がぞくっとした



「和音っ、逃げるぞ!!
茂みに入れ!」


「う、うんっ」



「僕から逃げれるわけないじゃん?
ま、10秒待ってあげるよ」



カルの言葉なんてそっちのけで
ガサガサと茂みをかき分けながら走った


当然だけど狼であるルオンの全力疾走には
ついていけず遅れ気味になっていた



「和音、大丈夫か?」


「これ以上速く走れない…」



するとルオンは急にスピードをゆるめて
姿勢を低くし、私に近づいた



「乗れ」



私は迷わずルオンに飛び乗る


「しっかり掴まっとけよ」



「うん」