中学の時、俺は何も知らずに航平の家に勉強しに行った。



「ここが僕の部屋。ちょっと散らかってるけど。」



この頃はまだ航平の一人称は僕だった。


「航平の部屋って落ち着いてるよな!いいなー。俺兄貴と一緒の部屋だし…一人部屋って憧れる。」


青色に統一された部屋を見渡す。



「そう、なんだ。」

「うち母ちゃんいないから。」


うつむいた航平に笑って答えた。



「そう気に病むな。気にしてないって。」