『とう…さん…?』


『……悪いな。父さん、母さんとの約束守れなくなった』


大きな荷物を持った父さんの隣には、知らない女性がいた。


なんで…どうして……。

それは中3の夏の出来事だった。



「……ちゃ。」


「兄ちゃんってば!」

俺を起こす声が聞こえたが、寝たふりを続ける。


生活は?お金は?誠は?

明日からどうすればいいのだろうか。


そんな心配で頭が痛かった。