弟が出て行ってから何時間かして。


ピンポーン



「……来た。」


途中まで読んでいた教科書を鞄に戻す。

予定通りに来た人。


やることはただ一つ。

俺はいつも通りに家に入れた。


「いらっしゃい。」


「……あぁ。」


近くの高校の制服を着た無口な男は、慣れた手つきでネクタイを緩めた。