すると、夏樹君が言う。
「ふーーん。俺が気づいてないとでも思った?」
その冷ややかな言葉に少し冷や汗をかく。
「な、なにが・・・?」
そういうと、夏樹君は
「あ、そう。またそうやって逃げるんだ。」
さらりと告げる。
慧君は私と夏樹君の顔を見ておどおどしている。
「俺はてっきり、あのときちゃんと本当のことを伝えると思ったんだけどな。」
「それは・・・」
「でも、結局翔のためとか言って逃げた。」
すると、夏樹君が間を空けて、私の顔を無理矢理自分の方を向けさせて、あと少しで顔と顔がぶつかりそうなくらい近づけると、
「違う?」
そう小さくつぶやく。

