私の胸の中で何かが崩れ落ちる音がした。 視界がにじみ、私は立ち上がる。 翔のいる後ろの方からくすくすという笑い声、ひそひそという話し声が聞こえる。 私は何事でもないように歩いて教室を出る。 「あれ、ちいー?」 廊下に聡先輩といた沙織が声をかけるが、 「沙織。ごめん。」 そう言って、私は駆け出した。 その頃教室で翔が悲しそうな目をしていたこと、沙織が若干怒っていたことに私は気づかなかった。