俺は少しでも登下校にかかる時間を減らそうと、走って通っていた。

夜とか闇の世界では、美男美女が多いし、高身長のモデル体型の人も多いし、喧嘩強い人が多いしで、神秘的で華やかなイメージが強いらしい吸血鬼だけど、実際は小さい努力を積み重ねてるか弱い生き物だ。

実際、吸血というのは、他の生き物の命を鮮度を保ったまま戴かないと、生きていけない証拠で。
保存方法も知らない、古くしてしまった命は無駄にする事しか出来ない、愚かで勿体無いと思う。




俺はその日も走って帰ろうとして、下駄箱でスニーカーの紐を結び直していた。

学校に内緒で持ってきているトマトジュースも飲んだ事だし、脱水症状も血液不足も回避出来そう。


「Bloody?」


そのまま立ち上がって下駄箱を出ようとすると、後ろから声をかけられた。

俺は急いで帰りたい。
返事をするか悩む。


「おい、Bloody」


今度は、少し苛立ちを含んだ声で呼ばれた。 
相手が苛立ってようと、どうでも良いんだけど。

二回も呼ばれたから、俺は仕方無く振り向いた。



クラスメートの下野俊秀が立っていた。





.