だけど、アンモラルには良い噂は無い。
どっちかって言ったら、悪い噂しかない。


俺は考えながら、和明に聞いてみる。



「アンモラルって、吸血鬼なんだろ?」

「…らしいね」


それは、本来ならこの日本に居ない筈の異形を認める、答え。


「吸血鬼なら当然、願いを叶えてもらった御礼は、血を欲しがるよな?」

「…たぶん。吸血鬼なんだし」


その血は、誰があげるんだろう?
俺? まさか江梨子?

江梨子がこれ以上失血したら、意識どころか、命は戻らない気がする。
俺の頭に、血塗れになって倒れる江梨子の側で、同じく血塗れになって舌なめずりするBloodyが浮かんだ。


「…でも、アンモラルだって事情を話せば、きっと分かってくれるよ」


俺はクラスメートであるBloodyを思い浮かべて、思わず顔をひきつらせた。

アイツが? ちょっと考えられないんだけど。





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