「こないだは本当にありがとう。御陰様で美濃先輩とは上手くやってるからって」



…そういう事か。
美濃彰って人の依頼内容。

どうせ流血のコトだから、また報酬も受け取らなかったんだろう。
相変わらず流血も欲無しな奴だ。


「分かった、渡しとく」

「ありがとう。御願いします」


微笑んだ駿河真亜咲は、そのまま自分の席に戻っていった。

俺は預かったクッキーを割る訳にもいかず、そっと鞄にしまう。


そのまま机に突っ伏して寝ようとしたら、数学の先生が来てしまった。


…出来れば授業が始まる前に寝ちゃいたかったんだが。
くそっ、失敗したな。



「出席とりまーす。相川…」


出席を取り始める先生。
どうせ俺は留学生だし、一番最後だ。


「下野」

「はい」


その返事に反応して、俺は下野の座っている席を見た。

昨日までは来てなかったのに。
退院したようだ。


……ま、俺には関係無いけど。





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