点滴をつけたままだけど、病院内の散歩が許されるようになった俺は、毎日のように江梨子の病室に通った。

江梨子は未だに目を覚まさない。
もう、事故から一週間が経っていた。




今日も、江梨子に会いにきた。
江梨子が目覚めていて、笑顔でいてくれたら良い。


「失礼しまーす」

「どうぞ」



ドアをノックして病室に入ると、個室である江梨子の病室から、珍しく返事があった。

江梨子のお母さんが見舞いにきていた。



「俊秀君も、江梨子の見舞いに来てくれたの?」


俺は気まずい思いをしながら、頷く。




江梨子と俺は幼なじみだったから、当然だけど俺は江梨子のお母さんとも面識がある。

しかし、江梨子は俺と一緒にいた時に交通事故に遭ったのだ。

俺がいたにも関わらず。

……どういう顔をして、江梨子のお母さんに会えば良いのか分からない。





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