頬が冷たいのに気付いて、目が覚めた。
手の甲で拭うと、頬が少し濡れている。

……夢か。
そして俺は、その夢を見て泣いていたのか。


つくづく悪夢だと思う。
それと同時に、自分を試すような夢だった。


夢の中で交通事故に遭っていた、中学の後輩。
アイツがいなければ、俺は真亜咲の隣りで笑っていられる確率が上がっただろう。

だけどそれ以前に、真亜咲が悲しむのは論外だ。

だいたい、俺なんかのクズの隣りで、真亜咲は笑ってくれるのかな?




そんな事を考えながら学校に行く準備をして、チャリを飛ばして学校に行く。

食堂の自販機で買った缶コーヒーを飲みながら世界史の予習をしてると、灰緑色の影が近付いてきた。




「美濃、おはようさん」

「…おはよ」

「昼休み、屋上に来れる?」

「分かった、行く」




デートみたいだけど、喧嘩が強い印象だけの因幡に限ってそれはない。

俺の願い、どうなってるのかな?





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