真亜咲はクズみたいな俺なんかより、本当によくできたヤツだから、俺が真亜咲の前で良い格好してみせようなんて、絶対に出来なかったけど。




……真亜咲といえば。

「真亜咲が俺に振り向くようにして欲しい」と願った、灰緑色の髪と目を持つクラスメート。
俺の願いは叶えてもらえるのかな?
今日、ちょっと聞いてみようか。




考えてみれば、アイツは表情にも口数も乏しいヤツだ。

顔を四六時中覗き込んでいても、アイツの考えてる事を読み解くのは難しいだろう。

俺達くらいの年齢の女子って、もっと笑ったり泣いたりしてるんじゃないかと思うんだけど。


願いを叶えてくれるという吸血鬼集団・“アンモラル”の因幡流血。






「因幡。俺の願いって、どうなってる?」




休み時間。
机に英語のノートを広げ、電子辞書で予習していた因幡に声をかける。

因幡は顔を上げて、俺を見る。
……今、ほんの少しだけ、因幡の眉が動いた気がする。





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