そのまま荒らしが無くなれば問題無いけど、チクったのがバレて逆恨みされて、部員達の作品まで荒らされたら、元も子もない。

文化祭直前の今、それだけは絶対に阻止しないと。






あたしは悩んだ末に、まずは目の前に散らかった絵の具を片付け、今日の部活を終えた後に、顧問と学年主任に直訴する事にした。

実行犯が同じ学年とは限らないから学年主任にチクるのが正しいとは限らないし、荒らす現場を見たわけでもないから説得力も欠けるんだけど。




しかも、出来るなら二度と被害に遭いたくない。
文化部全体で勘弁して欲しい。









考えていたあたしの頭に、一人の男の子の顔が浮かんだ。

同じクラスの、“アンモラル”・相模拓斗(サガミ タクト)君。
噂によると、願いを何でも叶えてくれるらしい。

彼に頼めば、きっと何とかしてくれるかも。
悪い噂もあるけど、どうせただの噂でしょ?

何より部活を守る為なら、多少の犠牲は仕方無いだろうし。




.