机の上には、赤い水溜まりが出来ている。



「側にいて」って言えてたら、どれだけ楽だったのかは分かんない。
ただそれでも、あの時に「側にいて」って言って良かったとは思えない。


だって、この場合の「側にいて」じゃ、「好き」って想いを伝えてるのと変わんないから。
それじゃ、灰色の男の子も、薄茶の女の子も、困らせてただろうし。
あの三人の幸せを壊す事にもなっただろうし。


じゃあ、「此処にいて」なら、言っても良かったの？
想いを直接伝える事にはならない、「此処にいて」って言葉だったら、大丈夫だった？

でも結局、皆で住んでいた兎小屋の中から出る事は出来ないんだから。
そんな意味で「此処にいて」なんて言っても、何の意味も無い事、当時のウチでも分かってたと思う。



机の上には、赤い水溜まりが出来ている。
ウチの赤い涙が溜まって出来た、まるで血溜まりのような、赤い水溜まり。





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