流血は一人じゃないから。もう寂しくないよ。
それを、分かって欲しかった。
それで、当時の寂しさが無かった事にはならないけど。

流血の啜り泣く声は、少しずつだけど小さくなっていった。


「流血…、大丈夫だよ…。大丈夫だよ…」


私は流血の頭を撫でながら、「大丈夫、大丈夫」と繰り返し続けた。


流血の啜り泣く声がかなり弱くなってきたから、私は流血の手をそっと離して、代わりに流血を優しく抱き締めてあげる。
手を握って頭を撫でてあげてるより、体温が感じられる分、より寂しさが紛れると思ったから。
…吸血鬼の体温なんて高くないし、どれだけ流血が楽になれるかなんて、分かんないけど。


「私も一緒に眠るから。……おやすみ、流血」


私は流血の啜り泣く声をBGMに、流血を抱き締めたまま、眠りについた。
だけど流血の啜り泣く声と赤い涙は、一晩中やむ事は無かった。





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