この、悲しくて苦しくてどうしようもない声を出す人を、私は知っているんだ。
その痛みが一人じゃどうしようも出来ない事も分かってるから、私は起き出して流血の部屋に向かってみた。

近付くにつれて大きくなる声を聞きながら、流血の部屋のドアを開けてみる。
やっぱりと言うか、案の定と言うか、そこにはベッドの上で眠りながら、赤い涙を流して苦しそうに叫ぶ流血がいた。


「流血? 大丈夫?」


流血の涙も叫び声も、弱くなる事は無い。
流血が大丈夫な訳が無いじゃない。
だからこそ、流血は泣いて、叫ぶんだから。


「流血、私の声が聞こえる? Desireだよ」


一人じゃないんだから。
そう思いながら流血のベッドの縁に座ると、流血の叫び声は少しだけ弱くなった。


「流血、大丈夫だよ。一人じゃないよ」


そう言いながら、流血の頭を撫でる。
子どもみたいって言われちゃそうだけど、これが流血が落ち着く方法だと思ったから。





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