「じゃあさ、最後の質問」

「何?」


俺が流血の不便さを想像してると、その流血が聞いてきた。
いよいよ最後の質問か。
俺が知ってる事で、まだ流血が知らない事ってあるのか?


「何でウチの涙は、赤いの?」

「それは、“流血が結果として自ら命を断って、吸血鬼になった代償”だって聞いてる」

「……聞いてる?」


流血は、俺の確定されてない言葉に、疑問を持ったらしい。
仕方無いだろ。


「俺も聞いただけなんだ。吸血鬼になっただけで、充分に代償だと思うけどな。“過去の痛みから流した血なんじゃないか?”って、聞いた事もある」

「そうか……」


だって吸血鬼は、生きたくなくても永遠を生きなきゃならない。
流血みたいに、寂しくて苦しい過去を抱えてるなら、なおさら苦しいと思うんだ。
過去を忘れる事が出来て、死んで逃げる事が出来る方が、よっぽど幸せだと思う。
吸血鬼になった事は、充分に代償を払ってる。





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