さてと、誰か教室に残ってる人はいるかな?
忘れ物してる人がいたら、ついでだし持って行ってやろう。

そう思いながら、教室内を改めて見回す。
すると、廊下側の一番後ろの席に、灰緑色の頭が突っ伏してるのが見えた。

俺は突っ伏してる灰緑色の頭……因幡流血の席に行き、因幡を叩き起こそうとして。
机の上に広がる、赤い水溜まりに気付いた。


「ひぃっ!?」


驚きすぎて、思わず声が出る。
赤ペンのインクにしては量が多いし、何より……。

血、みたいじゃないか。この水溜まり。
ルーズリーフという紙が、ゆっくりと赤い水溜まりを吸収していた。


だけど、因幡を起こさない訳にはいかない。
俺は因幡の背中に手を置き、少し揺すった。


「因幡、起きろよ。次、物理科学室に移動だよ」

「ふぁ……?」


因幡が反応して、ゆっくりと顔を上げた。
その顔と首には、涙を流したように、赤い跡が付いていた。





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