「美濃ー、戸締まり頼むぞー」

「うぇ~い」


日直日誌を机の中にしまったクラスメートが、俺に教室の鍵を投げてきた。
不満タラタラながらも何とか鍵を受け取る。


俺・美濃彰は、今日の日直だ。
仕方無く、黒板に残った前の授業の板書を消して、理科の移動教室の準備をする。
あとは、クラスの全員を教室から追い出して、教室の照明を消して、戸締まりして。



元から、それぞれの教室は戸締まり出来るようになってたけど、五月くらいに空の教室の窓ガラスが割られたクラスが出てからは、安全の為に戸締まりは厳重を守るようになった。

俺にしてみれば、偏差値も高くて、頑張って勉強しないと入れなかったこの北高で、校内を荒らして喜ぶような馬鹿な連中がいた事の方が驚きだったけど。
くだらない事で喜ぶ連中もいたもんだ。
俺なんて、所属するサッカー部じゃ下っ端だけど、こんなに腐らずやってるのにね。





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