頬を乱暴に手の甲で拭って、恐る恐る見てみる。
普通なら、透明な涙が付いてる筈。

だけど、手の甲には、ウチの予想どおりに。拓斗やDesireが言うように。
赤い染みで、濡れていた。
この赤いの、ウチの涙だったんだ。
つまりウチ、Desireの服を涙で濡らしまくっちゃったのか……。


「Desire、ごめんね。洋服、涙で汚しちゃって」

「構わないよ。汚すだなんて、そんな」


ウチの言い方をフォローしてくれるDesireだけど、ウチは肯定も否定もせずに、疑問を口にする。


「拓斗、知ってるなら教えて。枕カバーやベッドシーツの赤い染みって、ウチが寝ている間に泣いた、涙だったの?」

「…そうだよ」


……やっぱり、そうだったんだ。
涙を流しながら眠るなんて、ウチが気付いてなかっただけで、本当に苦しんでたんだなぁ。


「拓斗は、この事を知ってたの?」





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