やっぱり。そこからきたか。
拓斗は不安そうな顔をしながら、ウチを見ていた。


「うん、本当だよ。スーパーの近くの国道にぶつかるトコの信号で、赤信号なのに間違って渡ろうとして、車に轢かれそうになってた。それを、三河先輩に助けてもらった」

「そうだったのか……」


拓斗は下を向いて、少し考えてるみたい。
何を考えてるのか、何を言おうとしてるのかは、分かんない。


「三河さんも不思議に思ってるみたいなんだよ。喧嘩最強で、いかにも運動神経が良さそうな流血が、具合が悪いとはいえ、交通事故に遭いそうになる事なんてあるのかーって」

「……喧嘩が強いのと、運動神経が良いのは、別モンだと思うけど」

「そりゃそうだけど」


確かにウチは元から喧嘩が強いみたいで、特に鍛えた記憶も無いから、運動神経が良いタイプとは言えるんだろうけど。
でも、それとこれとは、話が違うんじゃないか?





.