……あの時の流血ちゃんは報酬すら受け取らなかったし、何とも思ってないかもしれないけど。
あたしは流血ちゃんが文化部を荒らす連中をシメてくれた事、本当に感謝してるんだよ。

だから、流血ちゃんが倒れちゃったら、あたしは本当に困るんだ。


「……先輩、御馳走様でした。美味しかったです」


気付いたら、流血ちゃんが素晴らしい飲みっぷりで、500mlのトマトジュースを空にしていた。
相変わらず、笑顔は極端に乏しい。
だけど流血ちゃんをちゃんと見てれば、ある程度は表情を見分けられる事に気付いた。


「いいえ~、気にしないで。……そうだ、トマトを使った新メニューなんてどうだろ?」

「良いですね! 出来たら教えて下さい。食べに行きます」


そんなたわいない事を喋りながら、やっぱりどうしても流血ちゃんが体調を崩したのが不思議で仕方なかった。
流血ちゃんの家の前で、別れる直前に見た流血ちゃんの目は、灰緑色じゃなくて赤かった。





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